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  • うめざわしゅん

無明

今年はコロナと仕事だけで終わってあとは記憶がない。貯金が底をつく前に連載を得たのは偶々の幸運だったがコロナは漫画にも悪影響しかなかった。まあ大晦日くらい忌々しいウイルスのことは置いておこう、ゴミ政府がチラついて腸が煮えくり返るし。

資料以外ろくに本も読めない一年だったがそんな中でも良き本と出会えたので備忘ついでに紹介。(今年読んだというだけで今年出た本ということではない)

『夢見る部屋』(デイヴィッド・リンチ/クリスティン・マッケナ著)

デイヴィッド・リンチの自伝。通常の伝記パートとそれを読んだリンチのインタビューが交互になっている珍しい構成。リンチのパートは口述筆記だと思うが回想というかほとんど自由連想のようにあちこちに話が飛ぶ。かっちり取材された伝記部分との差も相俟って頭がクラクラした。

子供の頃の挿話。同級生にチンコから白い液体が飛び出たという話を聞き、リンチは信じがたいがそれは本当なのだとわかったと語る。曰くそれは瞑想による超越と同じように、確かに本当にあることだとわかるのだとか。前々からTranscendental Meditationを試したいと思っていたが俄然実践したくなった。でも秘儀なんだよな。



『全身編集者』(白取千夏雄著)


ガロの副編集長だった故白取氏の自伝。ロマン優光氏の書評を見て興味を惹かれ取り寄せて読む。俺はガロについてボンヤリとした知識しかなく例の分裂騒動についてもこの本でその大筋を知った。しかしそうした「スキャンダラス」な部分よりも白取氏のガロへの想いや妻・やまだ紫氏への真率な心情が胸に迫った。愛する人の死や過酷な闘病の描写は読んでいて苦しくなるほどだが、晩年に知己となった劇画狼氏との師弟関係を描く筆にはホッとなる。編集者魂が引き継がれてゆく様も熱い。「あとがき」で読み味がさらに一転、真実は一人一人にあるのだ。



『社会はなぜ左と右にわかれるのか』(ジョナサン・ハイト著)


左右の「分断」についての、社会構築主義的な議論ではないヒトの生物学的観点からの分析。著者のハイトははっきりヒューム主義者で理性は感情の奴隷…とまではいかないが、直観を乗り手(理性)にとってアンコントローラブルな象に喩えておりとても頷けた。ポール・ブルームの『反共感論』でも思ったが直観やとっさの感情的判断は大抵信用ならないと思っとく位の方が良い。

しかし「理性的な判断」というやつは生命力を差し出してようやく得られるもので、独断的・直観的な人間の方が活力に満ち溢れているから所詮勝ち目はない気がする。

漫画は自分の仕事でいっぱいいっぱいで殆ど読めなかったが読みたいのがたくさん溜まっている。アレとかアレとか、、もう少し余裕を持って仕事したいもんです。


さて。

2021年はあれやこれや色々どうなるかというと一切いい展望はない。控えめに言っても日本の未来は真っ暗闇だが、まあ国家の凋落は別に個人のそれとそのまま重なるわけではないのでなるべく巻き添えにならないよう皆さん頑張りませう。

来年もなんとか。良いお年を。


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