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『ダーウィン事変』

本日発売の月刊アフタヌーン8月号にて新連載開始しました。

『ダーウィン事変』第1話無料で読めます。

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モアイ(月刊アフタヌーン公式)

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ニコニコ漫画

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藪から棒だが最近は「ハーフ」といふ言葉を使ふのが避けられてゐるさうな。

実はおれもハーフつて言葉昔から好きぢやないといふか使ひにくいんだよな。自分が当事者なわけではないんだけど「○人と△人のハーフ」なんて言ひ方がしつくりこない変に思へてしかたない。

と言つても所謂political correctness的な意味合ひといふより、地球上の人間はみんな遺伝的父親と遺伝的母親のハーフなんぢやないの?といふ身も蓋もない話で混血とかダブルとかミックスとかどう言ひ換へてもさして違和感は変はらない。


つまり国籍民族人種といつた現実の線引きに合はせて便宜的に作られた概念なわけで無論それに準じて制度なり差別といつた問題があるわけだから、その区分を当事者であれ非当事者であれ無視できないこと自体は全然をかしくない。

でもそもそも前提のこの世界つてやつが大いに曲者なわけぢやないですか。結局のところ正体が何なのかよくわからないとしても。それが無意味不条理不公正不正義不完全な度を越したクソ過ぎるデタラメの塊とでも呼ぶ他ない「何か」であることは明白に思へる。

その上に拵へられた、文明文化ミームなんでもいいけどそれらはみなフィクション夢まぼろし妄想の類であり何も実在しない。

そうさみんな何かにふりまわされているのさ幻想という在りもしない怪物にこの世の沙汰は嘘だらけusodarakeすべてまぼろしゴーグルそれをしろ、なんてことはもうあんまり誰も言はなくなりました。

厨二病のレッテルを貼られたくないからかマナー上そこは言はないのが大人の嗜みなのか、まあ「そんなこと言つても仕方ねーだろ」つてことだと思ふ。生活する上では大変尤もだがやはりそんなもの江戸アケミに倣つて「なんぼのもんじゃい」と言はねばならない。

習ひはいつしか性となり幻影の上に作られた便宜上の区分をまるで所与の実在の如く考へたりそれを基に自他をアイデンティファイすることに大方の人間が疑ひを持たない事態になつてゐるのだから。


国家のやうな人工的な概念が幻想であると認めるとしても、肌の色髪質ラクトース耐性といつた多くの特徴は遺伝子由来なので幻とは言へないと考へるかもしれない。しかしそれらも連続的なスペクトラムの中でのことに過ぎずそこに断絶などない。

例へば生物学的なカテゴリとしてrace人種といふのは殆ど意味を持たない概念だ。ありもしないところに断絶を作るのに確固として存在する目の前の完全な深淵は見えない(見ない)つてのがわけわからないんですよね。

鴎外の『かのやうに』ぢやあないけど、虚構を信じる「ふり」でプラグマティックに物事が上手く回るといふならどうかう言ふまいが、元々はさうして現実をうまく捕捉するためのツールとして拵へられた筈のフィクションがぜんぜん用を為してゐない。無用になつても「それが続いてきたから」といふ理由で影響を及ぼし続ける虚構とはもはや“呪ひ”と言ひ換へるべきだらうーーーーーー




といつた益体もないことをつらつら考へながら原稿を描いてゐるとCOVID-19がやつてきた。

わづかなタンパク質とRNAで構成された極小の越境者たちが見ないようにしてきた様々なモノのヴェールを次々剥がしていくさまを見てある種のカタルシスを覚えたことは否定できない。カタルシスといふ言葉は不謹慎…といふより不正確か。なんて言ふんだらう

「あーあ、これで何もかもバレちやつたなァ…てゆーかおいおい完全にチンコ丸見えだな世界…」といつた感覚。我がニッポンの政治家たちに限れば「え?チンコなんて全然見えてないですけど?ほらどこにもチンコなんてないぢやないですか!」と延々シラを切りながら貧相な布マスクで下はフルチンといつた有り様で国力国民性お国柄諸々みんな露はになつたわけだがまあさうだらうな、といふ諦めにも似た納得感。


話が横に逸れた。

ポストチンコ…いやポストコロナの世界では再び旧世界のあらゆる境界線を堅固にしようといふ動きが強まるだらう。もう既にさうなりつつある。

だがロックダウンなりワクチンなりで封じ込めたところでもう元通りには戻らない。結構なことだ。そもそも「元」の状態なんていつだつて碌なものではなかつた。一度も存在しなかつた過去の“理想生活“への郷愁。それこそ有害な妄想に過ぎない。

人間はあらゆる事を何でも可能にするだらうが、既に得た認識を自ら棄てるといふことだけは絶対にできない仕様になつてゐる。ここから先は今まで以上に過去と未来、現実と認識の間で苛烈な引つ張り合ひとなり人々はかつてないほど引き裂かれることになるだらう。

他人事のやうに言ふならこれはなかなかの見物、壮絶な形而上的スペクタクルとなる筈だ。



新連載ではかういつた辺り、できればもつと先まで行ければと思つてをります。

ま、コロナは全然関係ない話ですけれども。でも自分の中では現実とフィクションは常に地続きなので。

長くなつたが何が言ひたいかといふとキャッシングと前借りでギリギリ繋いで何とか連載に漕ぎ着けたので多少は売れてほしい。


以上告知でした。ご一読下さい。





うめざわしゅん

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